東京高等裁判所 昭和33年(ネ)1778号 判決
控訴人らの(四)の抗弁について考えると、被控訴人が支払拒絶証書作成期間経過後に本件手形の裏書譲渡を受けたものであることは被控訴人の主張自体で明らかであり、支払拒絶証書作成期間経過後の裏書が指名債権譲渡の効力のみを有することは手形法の定めるところであるから、控訴人らは裏書人である訴外市川義雄に対する人的関係に基く抗弁をもつてその被裏書人である被控訴人に対し対抗できることはもちろんである。しかしながら右市川が受取人である控訴人清水勝次から本件手形の裏書譲渡を受けたのは満期前である(このことは当事者間に争がない。)から、右市川は手形法の原則に従い振出人である控訴人三和産業株式会社の控訴人清水に対する人的抗弁を当然には承継しないものと解すべきであり、従つて市川の後者である被控訴人もまた本件手形を支払拒絶証書作成期間経過後に取得したからといつて、その前者に対する満期前の裏書人である控訴人清水に対する人的抗弁をもつて対抗されるいわれはないといわなければならない(もつとも、市川が控訴人らを害することを知つて本件手形を取得した場合には、市川に対すると同様被控訴人に対してもその抗弁をもつて対抗できるが、市川に右の事実があつたことについては、この点に関する原審における控訴人清水勝次及び控訴人会社代表者水野道造各本人尋問の際の同人らの供述はにわかに採用しがたく他に右事実を認めるに足りる証拠はなく、かえつて原審における証人市川義雄の証言によれば、その事実のなかつたことが認められる。)から、控訴人らの右(四)の抗弁は採用することができない。
(川喜多 小沢 位野木)